孫子の兵法 第一章 計篇 戦う前に準備せよ!

中国文化
  • 孫子の兵法の第一章には何が書かれているの?
  • 何事も準備が大事って聞くけど何で?
  • 孫子の兵法をビジネスに活用したい!

という疑問を持っているあなたへの記事になっています。

この記事では

  • 物事(ビジネス)を行う前の準備の大切さ
  • 孫子の兵法の第一章に書かれていることのまとめ
  • 準備の具体的なやりかた

について紹介していきます。

孫子の兵法第一章の内容

孫子
孫子

大切なことを始める前にはきちんとした準備が肝心じゃ

「準備が大切」って言葉はよく聞くけど具体的にどう準備したらよいのでしょうか?

この答えが「孫子の兵法 計篇」に具体的に書かれています。

孫子の兵法第一章では大きく7つのことが書かれています

1 戦争は国の大事である

2 戦争は冷静に判断、準備すべきものである

3 味方と敵との戦力差を冷静に計算して考えるべきである

4 トップの度量が勝敗を分ける

5 勝つために敵を欺く

6 敵を欺く方法

7 戦争をする前に冷静に計算すれば勝敗は予測できる

これらをまとめると

物事を始める前には情報を集め、分析し、勝算があるか見極めてから始めなさい

ということになりますよね。

計篇の7つのことを現代の言葉で表現すると

  • リスクを認識せよ
  • 勝つためのシステム作りをせよ
  • 相手との力関係を調査せよ
  • 分析結果を踏まえて方策を練るべし
  • 相手をあざむき、混乱させよ
  • 相手の弱点を研究せよ
  • 総合的に考え、勝算を見極めるべし

それぞれ具体的にどういう内容かまとめてみます。

リスクを認識せよ

孫子は

孫子
孫子

戦争には多くのリスクがあり、対策をしなければリスクは現実になる

リスクにしっかり対処できれば成果が上がるだろう

と言っています。

このリスクというのは孫子の時代で言えば

「作戦の失敗」「戦況の悪化」です。

リスクを見過ごしてしまうと最終的には

「国家の滅亡」「戦死」

という大きなリスクが待っています。

また孫子は、

孫子
孫子

リスクには2パターンある

  • リスクに気付かないパターン
  • リスクをリスクとして認識しないパターン

後者こそ、戦いにおける最大のリスクである

と言っています。

リスクに気付かないパターンの原因は情報不足なので、対処が早くできますが

リスクをリスクとして認識しないパターンは対処が大きく遅れます。

現代のビジネスで例えるなら

固定費が経理の圧迫になっているにもかかわらず、必要経費としてとらえてしまい、あとから負債額が膨らんでいく

というイメージでしょうか

リスクを放置すればそれだけ起きる確率も危険性も高まっていきますので、

最悪の場合「倒産」「事業失敗」という結果がもたらされることになります。

まとめ

リスクを早めに認識して、リスクに対処できるように準備しましょう

(事業を始める前からリスクマネジメントをしておきましょう)

勝つためのシステム作りをせよ

孫子は

孫子
孫子

準備に入る際には、戦って勝利できるかどうか自己の状態を確かめよ

自分の状態とは

  • 「道」 統治方針
  • 「天」 自然条件への対策
  • 「地」 戦う環境の調査
  • 「将」 組織を率いる人材
  • 「法」 人事面のルール

この「五事」を整備すれば戦うためのシステムが築けるであろう。

現代ビジネスで例えるなら

「道」 周りからの信頼、支持を得る方針

「天」と「地」 マーケティング(市場調査、市場の条件)

「将」 人材

「法」 役割と責任の所在

この「五事」が整備されればリスク対策になるということも孫子は言っています。

うーん、なるほどなぁと思うことばかりですよね~

紀元前の人の考えとは思えないほど物事の核心をついている気がします・・・

まとめ

準備するときには自分の状態を万全にしましょう

(自社のシステム整備を進めましょう)

相手との力関係を調査せよ

孫子
孫子

自己の状態(システム)がよくても周囲の条件が悪ければ力を発揮できない。

「七計」の総合力で勝る者が勝つのだ。

  • 「主」 君主(トップ)が正しい統治をしているか
  • 「将」 将軍(実行役)の能力があるか
  • 「天地」 環境・条件が戦いに有利か
  • 「法」 組織がルールに沿って運営されているか
  • 「兵卒」 軍隊(チーム)が強いか
  • 「士卒」 兵(メンバー)がよく訓練されているか
  • 「賞罰」 賞罰が適切に行われているか

孫子はこの「七計」を正しく分析すれば、

「戦う前から勝敗がわかる」

と言っています。

現代ビジネスで言えば、

新しい事業に参入する際に競合他社と渡り合えるか考えるときに

  • 会社トップの経営力、指揮力
  • 会社の方針がマーケットに適しているか
  • 社員の実力
  • 社内の賞罰などのルールがきちんと整っている(福利厚生を含む)

ということを

競合他社と自社の総合力を比べる基準として「七計」を使って比べれば

事業に参入する前から事業で成果を出せるかどうかがわかる

ということになりますね。

まとめ

相手と自分を比べて現状を把握したうえで準備しましょう

(自社と他社を数値で評価し、事業参入できるか見極めましょう)

分析結果を踏まえて方策を練るべし

孫子
孫子

「計」(基礎データ)を聞き流すような将軍は必ず負けるから解任せよ。

計画が的確であれば、組織はスムーズに行動し、

結果として組織に「勢」がつき、勝算が高まる。

この「勢」を生み出す不可欠な要素が「計」(基礎データ)だからだ。

と孫子は言っています。

ここでの「計」とは「相手との力関係を調査せよ」で紹介した「七計」のことをさします。

戦(いくさ)において自国と他国の力のデータを使うのと使わないとでは大きな差が出ます。

データを使えば

  • 開戦の判断が的確になる
  • 初動の動きがスムーズになる
  • 兵の士気があがる

ことになり、自国の戦いに「勢」がつきますよね。

一方、データを使わなければ

  • 開戦の判断が曖昧ではずしやすい
  • 初動の動きが後手に回りもたつく
  • 兵の士気が下がる

ことになり、「勢」がつきません。

また孫子は、

現代のビジネスで言えば、

しっかりしたデータを使えば、

  • 事業参入の適正な時期
  • 初動の売り上げをつくる
  • 社員のやる気が上がる

会社に「勢」がつき、業績が伸びていくというイメージでしょうか。

孫子
孫子

トップが「計」(基礎データ)をおろそかにするなら必ず失敗する

と孫子が言ってます。

逆に解釈すると

データを聞く度量(他人の言行を受け入れる、心の広さ)がないトップがいる組織は必ず失敗する

と言っているのです。

上に立つ者として、下の者の意見を聞くことが重要ってことですよね・・・

まとめ

基礎データをしっかり分析し、データに基づいた行動をすれば勢いがつく。

(自社で行うべき行動を割り出して実行すれば、業績が伸びるきっかけになる)

相手をあざむき、混乱させよ

孫子
孫子

敵も同じように情勢分析をしてくる。

ならば敵に間違った情報分析をさせる「詭道(きどう)」が戦略として重要になる。

「詭道」(ニセ情報)を流して相手を混乱させよ。

孫子は、自分が情勢分析をしているなら相手もしていることを想定しています

そして、「ニセ情報」を流して相手を混乱させれば、自分が有利になると言っています。

孫子
孫子

「ニセ情報」には2種類ある

1 自分の情勢を実際以上に良く見せかける

2 自分の情勢を実際より悪くみせかける

そちはどちらが得策と思うかな?

孫子
孫子

答えは「2」の自分の情勢を実際より悪く見せかけるじゃ

A店とB店という同時期に開店した居酒屋があり売上を競い合っている例をあげてみます。

条件として

  • A店は駅近で集客に困っていない
  • B店は駅から少し遠く、集客に困っていたため、主婦や近くで働いているサラリーマン向けにランチ営業を始めました。
  • ランチ営業の売り上げはまだ伸びておらず、これから営業をかけていこうとしています。

1 自分の情勢を実際以上によく見せた場合

A店
A店

最近B店の売り上げはどうですか?

B店
B店

うちはうちでA店とは違う手法で売り上げを出しているので、このまま伸ばしていきますよ。

A店
A店

違う手法ってなんだ?

最近B店ではランチ営業もやり始めたけどそれがうまくいっているのか?

こっちの店でも何か考えないとな・・・

B店ではランチ営業を開始して売り上げを伸ばそうとしているも関わらず

「ランチ営業ですでにうまくいっている」

と虚勢を張ってしまっています。

A店もB店の言葉を聞いて、「こちらも対策を練らなければいけない」と考えてしまいます。

この後、A店はB店のランチ営業のメニューを調べて、

B店より良いランチ営業を目指して営業を仕掛けていきました。

B店は再びA店に先を越され売り上げを伸ばすことが厳しくなっていきます。

2 自分の情勢を実際より悪く見せかけた場合

A店
A店

最近B店では売り上げはどうですか?

B店
B店

いやー、うちはA店と比べて駅近ではないですし、集客も難しいですよ~

A店
A店

そうか、うちは駅近で帰りの通勤客も来てくれるけど、B店は立地的にも厳しいよな~

A店はB店でランチ営業をしていることは知っていますが、

A店は、自分の「駅近」という絶対的優位を確かめるだけで、

「ランチ営業の売り上げ」という点までは頭が回らないでしょう。

この後、B店はランチ営業をコツコツ積み上げて、

主婦やサラリーマンがB店で食事をするようになり、

夜も駅から少し遠くても「知っている店」「ランチがおいしい店」ということで、

お客さんが足を運ぶようになり売り上げを伸ばしていくことができました。

相手に自分の情勢を優勢に見せてしまうと

相手はリスク意識が上がり、対策を実行するため、情勢分析が絶えず変化することから

分析が不正確になってしまい、相対的に自分が不利になってしまいます。

しかし、相手に自分の情勢を実際より悪く見せることで

相手はリスク意識が下がり、対策をしないため、自分が有利になることから

積極的に自分の情勢を悪く見せるニセ情報を使うべきだと言っています。

まとめ

虚勢を張らず、自分の悪い情勢を見せて、相手を油断させましょう。

(業績が伸びていても、おごらずに事業を進めることが大切です。)

相手の弱点を研究せよ

孫子
孫子

情報を集めて敵の強みと弱みを見つけ、徹底的に利用せよ。

相手の弱点を突くことは基本中の基本

相手の強いところは、対決を避けるか、本来の力が発揮できないように図るべし。

相手に弱みがあれば徹底的に弱いところを攻めるというのはよく聞いたことがあります。

しかし、相手が強いところに対しては、「対決を避けるべし」

と孫子は言っています。

孫子の考えでは「できるだけ損をせず利益を得て勝つ」

ということが基本にあることから対決を避けて損をしないことが大事なのでしょう。

よく「戦ってみないとわからないじゃないか!」という意見も耳にしますが

孫子にとっては、「戦う前にわからないところがあればそれはリスクであり避けるべき」なのです。

準備を完璧にすればいいということでしょうか?

孫子は、

孫子
孫子

準備に完璧はない。

「完璧はない」ということを頭に入れて様々な事態に備えて準備することが重要なのだ。

と言っており、戦いに入れば情勢がどんどん変化していくことも孫子は想定しています。

まとめ

準備に完璧はない。相手の弱点と強みを分析して対策を練りましょう。

(準備不足は論外、あらゆる情勢でも対応できる組織作りを目指しましょう。)

総合的に考え、勝算を見極めるべし

孫子
孫子

自分の状態、周囲の条件、「五事」のシステム整備、「七計」を基に作戦をだし、敵をかく乱させたら

「計」を用いて客観的な数値を比較せよ

勝利という結果が出るのは勝ち点が自国に多いとき

勝てないという結果が出るのは有利な要素が自国に少ないときだ

いままでのすべての準備ができたら相手と数値を比べて

勝ち点が多かったら=勝てる見込みがある

勝ち点が少なかったら=勝てる見込みがすくない

ということを孫子は言っています。

このことからわかるのは、

後戻りもまた準備段階の重要な戦略ということです。

勝てる見込みが少なければ勝ち点を増やすべく体制づくりを行えばいいのです。

勝利する確率が上がるのであれば、

「一か八か戦ってみる」よりかは「いまのままだと負けるから勝つ確率を増やす」方がいいですよね。

まとめ

客観的な数字で勝てる確率を出しましょう。勝率が少ないのなら後戻りすべし。

(客観的なデータを重視し、事業のシミュレーションを繰り返し行いましょう。)

まとめ

  • ステップ1 自分の状態を整備する(システム作り)
  • ステップ2 相手の状況、周囲の状況を確認(情勢分析)
  • ステップ3 データを基に対策を練り、相手をかく乱させる、弱点を突く
  • ステップ4 自分のデータと相手のデータを客観的な数字で出して総合力を出し、シミュレーションを行う。
    • 勝ち点が多ければGO! (準備に完璧はないことを頭に入れておく)
    • 勝ち点が少なければステップ1から見直す

参考本

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